三 化石水

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 足立区のように沖積層の厚い所では、良質の地下水を得るには、井戸を深くしなくてはならないが、地表下三〇〇メートル以上も掘り下げると、地質のところでのべたように第三紀層の海であった地層になる。このあたりの深度になると、第三紀層の堅い岩盤となって、地盤沈下には影響はないが、第三紀の海水が閉じ込められ濃縮されているので、揚水しても、洗剤のように泡だち、べっ甲色か、褐色であって、嫌なにおいがし、飲料水にならない。この地下水は今からおよそ、一千万年ほど前に海であったところが、地殻の変動でそのまま埋まってしまい、海の生物である貝や海草、魚類、微生物が地熱のために加熱されて腐ったもので、水温も高いところでは二十七度ぐらいある。

第4表 地質時代の区分
年数 地質時代 記事
5000年 新生代 第四紀 沖積世(後氷期) −10m〜−50m
柔らかいシルト層
1万年 洪積世 ヴュルム氷期 足立区では洪積層の上部層は浸蝕されていて、沖積層の基底は洪積層の中部層に接している。

砂、礫層
5万年
間氷期
10万年 リス氷期
間氷期
ミンデル氷期
50 万年 間氷期
ギュンツ氷期
100万年
第三紀 新第三紀 鮮新世 − 250m〜− 300mのところにあるかたい岩盤の地層。
泥岩層
500万年
1,000万年
中新世
5,000万年 古第三紀 足立区では岩石の資料がないが、物理探査によって調べられている。
中   生   代
1億年
古   生   代
5億年
10億年

 

第5表 足立区自然史年表
地質時代 区分  堆積土  地形変化  海岸線  気候  年前
沖積層 上部層 盛  土 新田開発 停滞 現 在暖 500
利根、荒川流足変更
河川堆積物 三角洲の前進 小前進 寒
浅海の堆積 自然堤防発達 1,000
所により礫層堆積 荒川、毛長堀に流れる
砂層、礫層 砂層の堆積盛んとなる
シルト質粘土層 中部層に浸蝕谷できる 3000
中部層 砂  層 荒川、千住町一帯に流れる 停滞 寒 5,000
シルト質粘土層 足立区全域海となる
(奥東京湾できる)
前進 今より暖
下部層 砂  層 砂 層 堆 積 後退 寒
シルト質粘土層 後背湿地、浸蝕谷に海水浸入 前進 暖
砂層をはさむところあり 荒川の分流千住元町より千住五丁目に流れる
荒川、江北より大谷田に流れる 9,800
腐植土層 後背地、浸蝕谷に堆積 停滞 寒 10,000
ヴェルム氷期
洪積層
砂層および
礫層
入間川、荒川、利根川、中川の浸蝕谷できる 後退 極寒 20,000

足立区内のボーリング資料による。

 この地下水を化石水といっている。足立区内では、まだそこまでの深井戸はないが、掘り下げて揚水すれば間違いなくこの化石水につき当る。隣接の草加市や川口市、東京都内の浅草、亀戸などで、この化石水を揚水して、天然温泉として営業用に使用しているところがある。