二 代官と村の政治

270 ~ 271

 江戸時代、今の足立区の大部分は、淵江領の名称のもとに、幕府の直轄地、(一部は舎人領で、これも直轄地)いわゆる天領となり、関東代官(関東郡代)伊奈氏の知行地であった。したがって地方行政に関する一切の権能は、代官が掌握しており、各農村を支配する最高の機関が、関東郡代または代官であった。代官の下には手付、手代、書役などの属吏があり、また農民中から村役人と呼ばれる、名主、触継、年寄、組頭、百姓代が選任され、その町村施政の機関としての権能が与えられ、町村行政のいっさいを掌理させていた。

 地方における町村行政は、「村の自治」と呼ばれるように、その町村の自治に任せ、だいたい、村をもって政治団体の基礎とし、いわゆる田土の検注、石高の計算は、常に村をもって眼目とした。したがって、幕府はただこれを監督するに過ぎなかったから、町村の事務範囲は、現在の制度と比較するとたいへん広範で、その権能などもひじょうに専制的であった。