四 盆踊り唄

842 ~ 845

 田植が終り、早苗振(さなぶ)り正月のころになると、部落の老婆の家に集まって盆踊りの練習が始まる。盆が来ると十七から二十歳ぐらいまでの娘が扇を持って歌い、七歳から十二歳ぐらいの女の子十四、五人が黒地に赤い竹の模様の着物に、赤い襷(たすき)と鈴のついた編笠をかぶり、両手に一尺(三〇センチ)ほどの「綾竹」を持ち、踊子の家や社・寺の庭で輪になって踊る。これは「小町踊り」の系統をひくものである。

 この盆踊りは「道行」の「まんまる」に始って、「お仙ソレソレ」・「参ろぞや」・「しゅんごや」・「橋づくし」・「笠づくし」・「花づくし」・「潮来出島(いたごでじま)」・「十よ七」・「伊勢音頭」・「神保広大寺」・「中田屋」・「東小山」・「殿サ節」・「五尺手拭(てぬぐい)」・「本町二丁目」・「坊さま踊り」そして「さんさ踊り」からなる組踊りであった。

 「まんまる」というのは、踊り子が「綾竹」(別名まんまる竹)をカチカチとぶつけながら、次の家に向う道中に歌うため、この名がある。

 まんまる

 〽 今年の盆は/目出度い盆よ/稲に花咲く/穂に穂が咲いて/賑やかに/倉を十五建て/十五建て/十五の倉に/三十三の女子(おなご)/三十三の女子/四十二の男/にやたか女子/にやたか男/にやぬとても/縁じゃもの/縁じゃもの/縁だと思て/腰ヨ掛けたならイ/大事の殿へ/腰を掛け/腰を掛け/大事の殿が/二つに割れて/一つは京へ/一つは奈良へ/かかるかかる/踊りがかかるイ/踊りはどちからかかるイ/京一番の/奈良屋の娘イ/門開けさないな/木戸を開けさいなイ/出て受けさいな/大将さま/大将さまイ/廻れ廻れ/踊子が廻れ/廻らぬ者は/お抜けやれ/お抜けやれイ/まんまるにござれよ/まんまるにござれイ/もちっとやれ/後去れしゃんせよ/踏んで見せまんしょ/踏んで見せまんしょ/踏まぬ者は/しおどと踏んでよ/場を均(なら)さいな/均さぬ場を/場をやれ/踏まぬ者/踏まぬ者/太鼓も置きやれ/ササラも置きやれ/これから先はやれ/踊ヨ替えまんしょ/品を替えまんしょ/今年習いの/綾踊り/綾だよこなせよ/綾を目出度く末長く/ア皆さん落すな/一人暮せば/師匠の恥/師匠の恥とは/思えども/落すその子の/恥となる/「オオサテガテンジョウ」

 千住宿の宿を中心にして、明治二十二、三年ごろまで踊られた「小町踊り」の一つに、三尺ほどの手拭を持って踊る「五尺手拭」がある。

 五尺手拭

 〽 五尺イヤコノ手拭/五尺手拭/中染めて/誰にイヤコノやろとて誰にやろとて/中染めて/君にイヤコノやろとて君にやろとて/中染めて/君がイヤコノ嫌やなら/君が嫌やなら/宿へ置け/宿のイヤコノ五郎兵衛は/宿の五郎兵衛は/伊達男/佐渡とイヤコノ越後は/佐渡と越後は/筋向い/橋をイヤコノ架けましょ/橋を架けましょ/船橋を/橋のイヤコノの下には/橋の下には/鵜(う)の鳥が/小鮒(ふな)イヤコノくわえて/小鮒くわえて/ぶりしゃりと/鮒じゃイヤコノござらぬ/鮒じゃござらぬ/鮎(あゆ)じゃもの/一分イヤコノ煙管(きせる)に/一分煙管に/二分煙管/三分イヤコノ火繩(ひなわ)へ/三分火繩へ/火をつけて/何処ヘイヤコノ行くとて/何処へ行くとて/火をつけて/わたしやイヤコノ西国/わたしゃ西国/長の旅/箱根イヤコノ八里は/箱根八里は/唄で越す/越すにイヤコノ越されぬ/大井川ヨ/「オオサテガテンジョ」

 次の唄も千住を中心に歌われた「小町踊り」の一つで、笠を持って踊るこの踊りは、大変かわいらしく、しかも優雅なものであったようだ。

 笠づくし

 〽 一ツトヤーヨ/一つ人目を/忍ぶにて/女心に/三度笠/三度笠ヤーヨ

 〽 九ツヤーヨ/九ツ小笠や/小網(こあみ)笠/国をへだてて/尾張笠/尾張笠ヤーヨ

 〽 十トヤーヨ/とうと十迄/笠づくし/笠もこれぎり/こればかり/次を踊りて/お目にかきょ

 江戸時代の唄で、東京にのこっている「お仙ソレソレ」は、江戸川・葛飾両区で歌うものと、足立区のものと二種がある。

 お仙ソレソレ(足立お仙ソレソレ)

 〽 お仙ソレソレナーヨ/ソーレソーレ/髢(かもじ)が落ちる/落ちて流れてナーヨ/流れて/すたりょがままよ/すたりょが殿子(とのご)にナーヨ/殿子に/何よ買って貰(もら)った/布の小枕にナーヨ/小枕に/五尺の髷(まげ)/入れて結わせてナーヨ/結わせて/後から見れば/たぼが三尺ナーヨ/三尺/髷めが二尺/お仙何よするナーヨ/何よする/唐紙(からかみ)の蔭で/可愛い男のナーヨ/男の/いよ帯ょくける/帯をくけるならナーヨ/くけるなら/斑(むら)なくくけろ/斑のある帯やナーヨ/ある帯や/いよ締めにくい/帯にや短かしナーヨ/短かし/襷(たすき)に長し/わしとお前さんのナーヨ/お前さんの/いよ笠の紐(ひも)/あの娘は何処の娘だナーヨ/何処の娘だい/名主どんの娘/なんぼ名主のナーヨ/名主の/娘だとても/襷がけさえナーヨ/かけさえ/いよあき五月/親がかけぬにナーヨ/かけぬに/子がかけらりょか/親は世間のナーヨ/世間の/いよ飾物/お仙これぎりナーヨ/これぎり/いよこればかり/「オオサテガテンジョ」