足立風土記編さん事業は、足立区立郷土博物館の開館記念事業として昭和六三年に発足し、今年で一六年になります。この間一七冊の資料集と区制六〇周年記念『絵でみる年表』、区制七〇周年記念の『ブックレット足立風土記』と今回の『足立風土記稿 地区編1千住』の刊行で『地区編稿本』全一〇巻の刊行を終わりました。この『地区編1千住』は、東北雄藩への入口として、また江戸の消費を賄う食糧や日用品の流通拠点でもあった、日光道中初宿千住宿の賑わいが克明に記録されています。これをもって足立風土記編さん事業を終了することと致します。
風土記全体を見ますと、古墳時代に溯るくらしの痕跡、中世から戦国武将の足跡や、江戸時代の開拓者たちが新田開発に心血を注いだ様子などそれぞれの地区の特色が分ります。
足立区は、幕末維新を経て、首都東京の近郊として食糧の生産や、流通の要を担ってきた千住を中心に繁栄し続けました。関東大震災、太平洋戦争、その後の高度経済成長期と大きな歴史の節目を乗り越え、先人がどのように対処してきたのか、多いに関心が高まるところであります。
今、平成の大改革と言われる社会変革の時を迎える一方、長期化する経済低迷の中で、区民の活気、また先人の知恵が参考になろうと思います。
千住に生まれ育って、足立区に奉職したものとして、今後の地域発展のために何が大切なのか、この足立風土記のなかから読みとれれば幸いと考えています。
この度、足立風土記編さん事業は終了しますが、地域にはまだまだ多くの資料があります。これについては今後の博物館事業として引き続き調査研究を続けて参りたいと思いますので変わらぬご協力を御願いします。
最後になりましたが、この事業を進めるにあたり惜しみないご協力を賜りました多くの方々に、深く感謝を申し上げます。
平成一六年三月