こうした経済力に支えられた千住地区には、多様な文化の出発点となった歴史を持つ。明治大正期の文豪として知られた森鴎外は、若き日に千住に暮らし、「千住森林太郎」として文壇に登場したことで知られる。また自由主義思想の河合榮治郎や歴史学の内田銀蔵は千住で生まれ育ち、今日の政治や歴史の探究に大きな影響を与えている。
さらに江戸時代に千住を舞台に開かれた「泰平の盛事」である酒合戦は、総合芸術作品とも言うべき「高陽闘飲図巻」を生み出し今日にその文化を伝えて、紀行文学の金字塔である松尾芭蕉の「おくのほそ道」では、千住が旅立ちの地であり、ここから前途三千里という紀行が始まった。
このように江戸時代から近代に至るまで、千住地区は日本全国に影響を与えた文化の出発点としての性格を持っており、地区内には関連する史蹟が点在している。