宿駅制が整備されるにともない、千住宿は公用通行や商用目的の旅に限らず、さまざまな旅の拠点として利用された。旅の利用者は大きく分けて二つある。一つは江戸と遠隔地を行き来する場合、もう一つは江戸近郊の行楽のために利用する場合であった。
遠隔地へ向かう旅人の例であるが、千住宿は江戸の出入口であったため、江戸から旅に出る場合や江戸に戻ってきた場合の送迎の場所として利用された。千住で見送り、千住で出迎える、そうした場所として利用されていたのである。
いっぽう江戸近郊をめぐる旅では、近在の名所をたずねる人の拠点となった。千住宿では千住大橋それ自体が江戸の名所であったが、後背地に西新井大師や六阿弥陀巡り、さらに花又(現花畑)の鷲明神社(現大鷲神社)があり季節ごとの信仰・行楽の旅が盛んに行われたのである。
これらの事例は枚挙にいとまがないが、ここではそのなかで代表的な旅のようすを見ていきたい。