諸職人

61 ~ 61

 商店の有無に関わらず千住宿にいた職人については、一八二七(文政一〇)年の「千住宿村差出明細帳」(甲田家文書)に記載がある。同資料に登場する千住宿の職人は左上の一覧の通りである。上位五種を掲げると次の通りである。

1827(文政10)年の千住宿諸職人
No. 職人 人数 No. 職人 人数
1 建具職 4 21 銅子鍛冶職 4
2 大工職 32 22 畳屋職 5
3 桶職※ 14 23 やすり鍛冶職 2
4 塗師職 2 24 鋳懸職 1
5 家根職 11 25 髪結職 32
6 農具鍛冶職 5 26 車力職 62
7 石工職 3 27 紙入仕立職 2
8 鞍職 2 28 杣大工職 3
9 左官職 8 29 木挽職 2
10 鳶職 15 30 船頭職 18
11 脇差刀拵職 1 31 井戸職 1
12 棟上職 4 32 蝋燭職 4
13 経師職 2 33 差物職 2
14 舂造職 1 34 仕立職 2
15 刻煙草職 7 35 笊職 3
16 毛抜鍛冶職 1 36 きせる職 1
17 皮煙草入職 1 37 三味線職 1
18 下駄足駄職 3 38 附木職 1
19 足袋職 8 39 板屋根職 1
20 紺屋職 7 40 小柄彫物職 1

出典:1827(文政10)年「日光道中千住宿村差出明細帳」(甲田家文書)
掲載は資料表記順とした。※「桶職」は「江戸箕輪組加入」とある。

 もっとも多いのは車力職(1位。No.26)である。この職は千住宿内の輸送を行う荷車を運用する人々で、職人の中ではもっとも多く、流通を担った千住宿の特徴を端的に表している。次いで多いのが髪結職(2位。No.25)と大工職(同2位。No.2)である。髪結職が多い理由について明記された資料は見出せないが、食売旅籠(前掲)の存在と、旅装を整える初宿としての千住宿の性格が反映していると思われる。大工職は言うまでもなく建築職で、このほかにも家根職(屋根職、No.5)や建具職(No.1)などがあり、建築関係の諸職人として登場している。これに続くのが船頭職(4位。No.30)で、橋戸河岸を拠点に舟運に携わっていたと考えられる。車力職が宿内の輸送の主力であるのに対し、舟運によって宿外との輸送を担っていた。続いて多いのが鳶職(5位。No.10)で、言うまでもなく建築や土木関係の差配から、祭礼の差配まで生活の多岐にわたり関わった職人であった。

 このほか、生活を支える様々な職人が千住宿にいたことが同資料から見出せる。おおまかな傾向としては、宿場であるとともに市場をもっていたことが反映した構成であるといえよう。またNo.3の桶職が江戸箕輪組に加入していたとも記述されており、問屋と同様、江戸との関係があることも、その特徴の一つであった。