一つ目の事例は、官軍による千住宿からの兵糧米と軍資金の徴発である。官軍の兵糧米と軍資金については品川宿に布陣していた東海道総督府が管理していたが、四月一四日付で兵糧米と軍資金を差し出すよう同総督府の会計方から千住宿役人に廻状が届けられた(「御伝馬御用留」)。しかも、この命令は、「急いでいるため、廻状が到着次第に実行するように、また現物が間に合わなければ、金で支払え」という付帯事項があった。
千住宿では、急ぎ資金を取り集め、翌一五日には一三〇両余りの兵糧米代金および軍資金を東海道総督府に差しだした(上掲資料)。
■官軍の兵糧米、軍資金の徴発
①官軍兵糧米軍資金上納の覚
一、高千五百四十四石壱斗九升八合六夕
此米拾九石壱斗三升四夕
此金八拾三両永七拾五文六分
金四十七両三分永七拾六文
小以金百三拾壱両永壱文六分
右は今般御官軍方兵食御賄向米金高百石当ヲ以書面之通上納仕候、以上、
日光道中千住宿
辰四月十五日 年寄 清右衛門
問屋 石出雄三郎
同 平左衛門
右は品川宿御旅宿御代官松村忠四郎様御手代服部之助様江差出申候事、
②官軍の請取書
官軍御賄高掛米金請取
一、米拾九石壱斗三升四夕 但、金壱両ニ付白米弐斗三升
此金八拾三両永百七拾五文壱分
一、金四十七両三分永七拾六文
小以金百三拾壱両永壱文六分
右請取候、以上、
品川宿官軍御賄所
大竹左馬太郎手附
辰四月十五日 関根勘十郎
松村忠四郎手代
服部之助
武州足立郡千住宿
※ 出典=「御伝馬御用留」