千住の酒合戦

153 ~ 153

時は流れて一六七年後の一八一五(文化一二)年一〇月二一日、千住一丁目問屋場前の諸家飛脚宿中屋の隠居六右衛門「中六」が還暦祝いに酒合戦を催した。勧進元は中六の呑友達の粋人鯉隠(坂川利右衛門・頌酒堂佐可和鯉隠・青物問屋坂川屋)が引き受けた。

 鯉隠は千住の俳人建部巣兆の門下で絵を描き、酒井抱一と親交があった。千住に遊ぶ亀田鵬斎(かめだぼうさい)など文人墨客とも親交があり、江戸市中の文人らを来賓として招いた。その顔ぶれは鵬斎自身をはじめ、谷文晁(たにぶんちょう)、大窪詩仏(おおくぼしぶつ)、市河寛斎(いちかわかんさい)、酒井抱一(さかいほういつ)など知名度の高い人達であった。これに加え、竹塚村(現竹の塚)出身の文人、竹塚東子も来賓に連なっている。