白幡山不動院薬師寺と号し、本尊は不動明王である。宗派は新義真言宗で、本山は和歌山県にある根来寺である。『仏教名鑑』によれば、一三三二(元弘二)年で、秀天が開山したと伝えられている。『風土記』には当院の由来について次のように記されている。
不動院 新義真言宗。本木村吉祥院末。白旗山薬師寺ト号ス。本尊不動興教大師ノ作ナリ。当寺ハ昔二丁目ニアル。慈眼寺ノ護摩堂ナリシヲ。後一寺トセシト云。
『風土記』が編さんされた文政期(一八一八~三〇年)には、吉祥院(本木西町)の末寺であった。本尊の不動明王は、新義真言宗の宗祖で平安時代後期の僧興教大師(こうぎょうだいし)(覚鑁(かくばん))の作だという。また、慈眼寺の護摩堂であったが一寺として独立したという。
一九二三(大正一二)年の関東大震災、一九四五(昭和二〇)年のB29の空襲など度重なる災害で、寺に保存されていた記録や什器が焼失してしまったので詳細なことは不明である。
境内には芸州供養塔(一〇三頁参照)一八六〇(万延元)年の無縁塔、一八六一(文久元)年の常夜灯、などの石造物がある。また、『足立区文化財調査報告書 庚申塔編』には、不動院の庚申塔として三基掲載されている。一七〇二(元禄一五)年九月一四日の駒形庚申塔は、青面金剛と三猿がある。一七七七(安永六)年二月の角柱型で「庚申供養塔」と刻まれている。一八一四(文化一一)年のものは自然石型で「庚」という文字が刻まれている。