永野家文書旧考録

211 ~ 212

区の指定文化財であり、足立区最初の歴史書とも言える資料である。永野家は、千住二丁目の旧家で、代々町役人を勤めてきた。『旧考録』によると永野家の先祖は大江道知(おおえのみちとも)で、大江氏は菅原氏と同祖だという。

 『旧考録』は、江戸時代における千住宿の様子を知る手がかりとなる重要な資料で、一九八三(昭和五八)年一二月一六日に有形文化財(古文書)に指定され、足立区立郷土博物館に収蔵されている。

 前編・後編の二編にわかれている。前編は、氷川社・稲荷社相殿七社をはじめとする、千住二丁目ゆかりの神社縁起と氷川社、稲荷社の年中祭礼、一八四五(弘化二)年氷川社・稲荷社新宮社落成時に奉納された額に記載された「両社草創駅邑起本暦代記」などが記されている。後編は、千住の旧古考、過去から当時に至るまでの事跡、千住にかかわる著名人の事跡などを記している。成立時期・作成者は前編と後編で異なっていると推定され、前編は、奥書に「弘化二龍集乙巳龝九月良辰 納主永野彦右衛門尉菅原政重」とあるように、一八四五(弘化二)年九月に成立し、永野彦右衛門政重が記したものである。しかし、後編は、政重の辞世の句や嘉永期(一八四八~五四)の記述がみられる。これらのことから、成立年代が前編よりも下り、作成者も永野政重以外のものであると考えられるが、未詳である。

 なお、指定文化財は、本件のほか石出吉胤の墓がある。