一月一日

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     福は内鬼ハ外
(朱書)
文久三癸亥年日誌 巻上
 
元日朝ゟ雨降終日、江戸四ツ谷傳馬町金子屋五郎兵衛方止宿、野津田村
名主河井三左衛門供道助方下男孫二郎都合三人、小野大明神・八幡宮・
地中長坂・山神・稲荷、五社神前拝礼、畢而餅吸物屠蘇祝
天照皇大神宮・年徳大善神拝礼、一体昨年廿九日出府之訳ハ左之通
一 御地頭所御使番山口織部様与申上候処、昨廿七日夜五ツ時
若年寄様方御連名之御奉書ニ而明廿八日朝五ツ時
登城可有之旨被為 仰蒙、則刻限御登城被為在
被仰付候義者、騎兵頭御席之義者西丸御留居上席
奉行並与申事に御昇進被遊山口近江守様与申上候、誠
御家中ハ不及申御知行所一同大祝之事ニ御座候、廿九日
右之次第故、月迫出府宿屋五郎兵衛方ニ而越年仕候、乍去無此上
恐悦之事ニ御座候、其節持参之金子左之通
一 金三拾両       御役成出金
       此訳   拾七両   小野路
            拾三両   野津田村
 右之通用役小林又右衛門殿江相渡請取書引替申置候、已上