読み下し

近藤勇書簡

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(端裏書き)
佐藤雅契
児嶋雅契      京師
粕谷雅契         近藤
橋本雅契            拝
 
尓来御疎闊ニ相過候段
恐懼の至り時下酷暑の
節倍(ますます)御清迪敬賀奉り候
然らば當方も一同異ならず
在勤罷り在候間御眷(懸)念
下され間敷陳ば留守弊宅
は相替らず御厚配多謝
筆紙に尽し難く下拙義にも
當年は是非一ト先
東帰も心懸け居り候処上国
形成沸議粉擾既に
四藩出京幕府御不
都合の件々 朝廷え
申し立て候義に付 禁中
の動揺種々入り、説之に加え
兵庫開港是亦巷説
甚敷併せて開港の義は
時勢柄やむを得ざる場合に立到り
且異情も測り難く実以て
国家安危妄に言うに忍ばざる次第
防長所置の義にも国事
典型に関係致すべく次第
冠履倒置相成べき哉の勢い
就ては別紙の通り
摂政殿え差し上げ候処速に
御目見え 仰せ付けられ猶口上向きも
委詳御尋問に相成候依って
写し指上げ申し候亦時勢
機密の御用として御極内周旋
仰せ付けられ居り候間何分東下も
計り難く併せて模様柄次第
土方沖田井上三輩士は
寸隙も之有り候はば立帰り
東下致させたく右は御含み
迄申し上げ候、右暑中御窺い
迄余は重便を期して恐惶
謹言
  六月廿九日
        近藤 勇 百拝
  佐藤彦五郎様
  小嶋鹿之助様
  粕谷大作 様
  橋本道之助様
 
猶季候折角御自愛相成り候様
致したく憚りながら御親戚様勿論
搏剣衆中えも御序(ついで)の節
宜敷御鳳声願い上げ候、随って
小生義も御 目見以上と
御取り扱い 仰せ付けられ候、此段御吹聴
申し上げ候、其外差之有り候
以上
土方子は廻邏組肝入之
御取り扱い 仰せ出され候、其外は与力
上席より段々差之有り候