読み下し

土方歳三書簡

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近藤勇 先生
          土方歳三
佐藤彦五郎様
 
一つ 書申し上げ奉り候
時分柄追々寒冷相催し
候処、愈(いよいよ)御堅勝在らせらるべく
御坐候と恐悦奉り候
随って局一統無事まかり
在り候間、御安心下さるべく候
一つ 当月七日近藤門
人と申し候て松木の延三
忰元太郎・小林重太郎
右両人同志致し度(たく)
旨申し入れ候、唯々(ただただ)何事
も申さずさしおき候
此者義いかが取り計らい
候てよろしく御坐候哉、否
伺いたく奉り候、尤も無こし(腰)
参り近藤・土方とさし
て甚々(はなはだ)同志中え
不面目之義候、行
々(ゆくゆく)右ようの者之(これ)無く
願い上げ奉り候、一つ、過ぐる五日篠
塚峯三義、松平肥後守
殿え古主よりたって
御願いに付き、よぎなき
次第にて先(まず)主人え
相渡し候間、此段
申し上げ奉り候、二に兼々
申し上げ奉り候、家来の附(つき)
五、六人ハ是悲(迄カ)共
御遣わし相成り候様
願い上げ奉り候、尾州
公并びに大目付永井
公近々内西国え御
発向と申す事故(ゆえ)種々
御帰京之所心配仕り
おり候、一つ、局一同炮
術ちふれん(調練)残らず西
洋ツゝ致し候て、毎日
仕り候間、おふいに此
程よろしく相成り、長門
魁も相成るべきと
恐悦奉りおり候、先は御
伺い旁々(かたがた)此の如く御坐候、
             恐々不備
九日
             土方歳三
近藤 勇先生
佐藤彦五郎様
尚々過ぐる廿八日出しの
書面八日到着仕候
よろしく候