読み下し

宮川惣兵衛書簡

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愈寒冷相募り候得共益
御機嫌能(よく)恐悦至極に存じ奉り候
然れば京地模様の儀ハ全く
大樹公将軍職御辞退の由にて
伏見迄御立退の処御先供の儀ハ
桑名宿迄立退其外諸大名
残らず京坂立退在国に相成べく
處会津侯罷出双方制し
是迄の通り征夷の職相勤られ
候様相成り申す由に御座候尤当時
皇国より仰出され候儀ハ会津侯
萬端熟談の上国政取斗ふ
べく由仰出され候由に御座候尚又
一橋公の儀も将軍同様に御用
成さるべく候間当節会津侯勢い
京坂に并ぶもの御座無く候由に
風説遼に御座候間新選組
の儀別段相替り候儀之有る間敷候
此談(段)御安心下さる可く候尚長州
征伐の儀追々手詰まりに相成
先陣ハ井伊掃部頭殿二陣ハ
榊原式部少輔殿の由に御座候
尚追々後便に委敷
       申述可く候以上
 
 十月廿六日    惣兵衛
 
  宮川様
 
 尚々先達て舟板老先生
 餅米二百疋分御願申上候ハ
 暮に入て御序之節餅に御搗
 下さる可く候様御頼に御座候間宜敷
 御願申上候米代金弐分并びに
 舟板より黒砂糖壱袋差上ヶ
 京地より書状壱通差上候間
 宜敷希い奉り候以上