掛橋朝霞
たちわたるあしたのくもも
色深き かすミにこむる
木曽乃かけはし
小野瀑布
しろたえにみる一すしハ
手つくりの それかと
まかふをのゝ瀧つせ
横川穐月
あかてみむよかハのなみに
すむ月乃 かけもちりなむ
あきのやまみつ
御嶽暮雪
嵐ふくゆふへの雲乃
絶まより みたけの雪そ
空にさむけき
寝覚夜雨
かりまくらねさめ乃とこ乃
山嵐も あめになりゆく
夜半のさひしさ
風越晴嵐
明わたるひかりもみえて
風越の 高根はれゆく
よるのうきくも
徳音晩鐘
山てらはそとともわかす
ほとゝをき ふもとにひゝく
いりあひのかね
駒嶽夕照
こまかたけはるる夕日に
みる雪の ひかりもさむく
まかふしらくも
【解説】
富澤忠右衛門が、連光寺村に帰るときに土方歳三から土産にもらったもの。
作者の署名がないことから、土方が京都で入手した木曽八景の和歌を和歌をよくする富澤に記念として送ったと思われる。土方歳三は、上洛前に「豊玉発句集」を残しているが、和歌についてはほとんど資料がない。