著者の北大路季賢は、賀茂系図には名前と社家制度が終焉する明治四年時点の官位(正四位下安芸介)のみの記述であるが、賀茂系図の下書帳である『字名位階控』(一般財団法人賀茂県主同族会所蔵文書)と知新録には季賢の経歴が残されている。季賢は天保三年(1832)に生まれ、十五歳の弘化三年(1846)従五位下に叙爵、三十三歳の元治元年(1864)安芸介に任じられ、明治十四年(1881)に五十歳で卒去した。社職には就いていないが、父の季治は安政六年(1859)に氏神祢宜に補せられ、若宮祝まで勤めた人物である。
(3) 著者について