〈解題〉

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 有秀が、自身の句文や文章をまとめたもので、序と十八題の文、句文からなる。
 序文の年記は文化四年(一八〇七)。二題目の「いそ枕後の序」(寛政十年(一七九八))から最後の「庵筆白澤薗額面の書」(文化十四年(一八一七))までの間に年記のある章がいくっかあり、そこから見る限り、本文はほぼ年代順に並んでいるように見える。また、数カ所の見消チ部分があることから、序文が書かれた文化四年以降、新たな章を折々に書き足しながら、全体の推敲、校正も続けていたと思われる。
 序文はあるが跋文がないこと、「庵筆白澤薗額面の書」の三年後に筆者が亡くなっていることを考えると、手塩にかけていたが未完となった句文集ではないだろうか。