解題・説明
|
本書簡は発信の年月日を欠くが、「改年のお慶び」ではじまる文面は年賀状である。追伸に両三日前に江戸表より、次の伝言が届いた。文武両様のものであれば、百五十石より二百石まで、また、一通りにては、五十石を下されるとのこと、もしこれにふさわしい御人がいたらお申し越しくださいとある。この情報は、あるいは江戸試衛場の近藤勇からの伝言であったかもしれない。この人材登用の募集は浪士組の上洛の件であった。 また、別の情報として、日野の井上源三郎へ諸公よりとあるが、諸公は幕府の閣僚である大名や、旗本を指していると思われる。諸公と一緒にと書くところを書き誤ったと思われる。なお、井上源三郎の兄松五郎が、千人同心のため、井上松五郎が諸公と一緒に御上洛をすれば、三十石弐人扶持づつ下さるという話を伝えているが、名前を松五郎と書き違えている。これらの話を、お年玉として申し上げると結んでいる。
|