解題・説明
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小野路村の東光寺住職雲歩の僧の位が昇進し、本山永平寺に行くことになり、慶応元年七月二十四日に雲歩禅師が、小島家に挨拶に訪れた。鹿之助は、近藤と土方宛書簡の配達を依頼した。雲歩は、七月二十五日に小野路村を出立し、京の近藤、土方に八月十八日に書簡を渡して、彼らの返書を預かった。その後永平寺に回って、九月二十七日に帰宅し小島家に書簡を届けた。 近藤書簡には、「当月四日出しの御投翰同月十八日東光寺貴僧所持則ち拝見」とあるが、実際は、「七月二十四日出しの御投翰同月十八日東光寺貴僧所持則ち拝見」と書くべきである。書簡の内容は、筑前黒田藩の事件、将軍家茂公の暗殺未遂事件である膳所一件と、長征一件の様子を伝えている。膳所一件については、「此義には大名一家の興廃に係り候間、御他言御断り申し上げ候」と記している。土方の書簡は不明である。
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