人丸山の亀

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 人丸山の亀といわれて、まず頭に浮かぶのが「亀の水」です。元禄12年(1699)、柿本神社の西参道がつくられました。そのとき、山上に水がないので崖から湧き出た水を竹管を埋めて引いたのが始まりです。亀の口から水が流れるようになったのは、享保4年(1719)12月のことです。この亀、よく見ると耳があって、尻尾は筆・箒(ほうき)のようになっています。竜が生んだ9匹の子の一つで贔屓(ひいき)といいます。形状は亀に似ていて、重い荷物を負うことが大好きです。そこで思い浮かぶのが、柿本神社の「亀の碑」(播州明石浦柿本大夫祠堂碑)です。寛文4年(1664)に藩主松平信之が建てました。精巧な造りを見ていると、背負っている人麻呂顕彰碑の1712字の漢文を一気に読むと台座の贔屓が動き出すといわれているのも納得できます。
 あと、人丸山の西、明石公園へ向かう途中に、ツツジで有名な「妙見さん」があります。妙見宮の額が掲げられた割拝殿(わりはいでん)の土間に四角い大きな線香立てを背に乗せた贔屓がいます。
 江戸時代になると、このような亀趺(きふ)と呼ばれる亀の形をした台石に石碑などを乗せた石造品を造る風習が中国から取り入れられます。この亀趺から、「亀の水」「亀の碑」と名付けられたのでしょう。
 人丸山には亀(贔屓)がもう1匹います。探してみて下さい。
亀の碑(柿本神社)亀の水
亀の碑(柿本神社)亀の水
 
柿本神社の亀「妙見さん」の亀
柿本神社の亀「妙見さん」の亀