龍泉寺背後の段丘上、瀬戸内海と淡路島を一望できる場所に立地しています。高さ1.5m、直径10m足らずの小さな丘で「藤原長明大林神」の額が掲げられた祠があり、内には一字一石経を納めた法顯塔が祀られています。他に「源九郎さん」と呼ばれている稲荷の祠や石仏があります。明治の頃に村の有志で祠を建てたようですが、それ以前にも信仰の対象となっていたと思われます。戦前までは「千年松」という大きな松があり、海上での漁師の目印になっていました。由緒などは明らかではありませんが、林にある宝蔵寺の本尊毘沙門天像を鹿ノ瀬の海中から引き揚げたのが、藤原鎌足(飛鳥時代の人)の末裔である藤原太郎左近と伝えられていて、この人物を祀った塚であるという話があります。付近には「大塚」や「狐塚」など、小さな丘を塚や社として祀った所が多くあったようで、これらは立地・規模・伝承などから古墳の墳丘を利用したものと考えられます。
藤原塚