水利組合の年間事業

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 一般に農業用水の維持・管理を行い、水の分配、水利施設の維持・管理などに関わる組織を水利組合と呼んでいる。現在、明石市内には55の水利組合がある。各水利組合では毎年、堤防焼き・砂止め作業、水入れ、溝さらえなどが年中行事として行われている。
 松陰新田では、およそ以下のとおりである。
1月総会前年度の事業報告と決算報告
今年度の事業予定と予算計画
2月堤防焼きと砂止め作業
3月ため池クリーンキャンぺーン……※1
4月ため池に水を入れる
6月水路掃除 草刈 (1回目)………※2
田に水を入れる 田植え…………※3
7月水路掃除 草刈 (2回目)
9月農道の草刈
11月泥さらえ 池干し(以前は行っていた)

 
ため池クリーンキャンぺーン ※1
 ため池は農地の灌漑の目的で水利組合が中心となって維持・管理を行ってきた。しかし、時代とともに都市化が進展し農地や農業人口が急激に減少してきたため、農家だけではため池の維持・管理をすることが困難になってきた。
 そこで、水利組合と地域住民が力を合わせ、ため池を地域の貴重な財産とて守り育て、新しいふるさとづくりへつなげていく「ため池協議会」が2002年から少しずつ東播磨で設立され始めた。明石市では現在、12の協議会があり、その一つに「松陰新田ため池協議会」も入っている。
 2007年2月、市内で10番目のため池協議会として発足した。都市化が進展する中で、農村風景が残っている唯一の地域で、毎年3月にため池クリーンキャンペーンが行われている。最近、この地域の雑木林に産業廃棄物の不法投棄が目立ち、地域を挙げて対応にも取り組んでいる。

ため池クリーンキャンペーンの様子

構成員人数   80人
構成団体名   松陰新田水利組合 自治会高年クラブ 財産区 消防団
主な関係ため池 鳴池、寺池、砂池、上池、下池
 
水路掃除・草刈 ※2
水路掃除
水路掃除水路掃除

 
田へ水を入れる約1週間前に水路掃除や草刈をする。東・中・西の3グループ(各グループ19名)に分かれ、草刈や泥上げ作業を行う。2007年は、午前7時から約3時間の作業、その後、公民館に集合して昼食を取りながら反省会がもたれた。

聞き取り調査の様子

 
田に水を入れる ※3
松陰新田では、新田開発と同時期に九つのため池が造られたという(上記明治初期の地図参照)。それらのため池から田に水を入れる仕事をする人を「水入れ役」と呼ばれ、4人が関係農家の中から所有する田の面積に従って順番に回ってくる。そのうちの1人は役目に熟知した人がなる。具体的な仕事は、「水おろし(水入れ開始)」から始まる。鳴池で厄払いとお祈りをしてお神酒を供え、そのあと樋を開ける。3日間ほどですべての田に水が入り各農家では代掻きの準備となる。田植え後の水管理は、4人で分担して、ほぼ毎日水路を見て回る。「中干し(稲に酸素を十分与え株を増やすため田の水を抜く作業)」などの農作業暦やそれぞれの田の特徴を考慮しながら、きめ細やかな水管理を行う。7月中旬までは、常に田に水が入っているようにする。
水入れ役による不公平がないように昔は水入れ役を監視する役もあったという。
ため池を守り維持していくため、「水入れ役」の仕事内容は時代とともに変化してきているが、今なお農家の人々にとって、重要な役目を果たしている。

松陰新田の水路網