(4)『播州名所巡覧図会』〔文化元年(1804)刊行〕

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・大倉谷 “この浜に春の末、網はるものをイカナゴといひて、多く取る時は鍋に水を加え煮(い)り、沸湯に油を分かち取り、魚はそのまま籠に入れてうるなり。かの油甚だ臭し。兵庫の部にいひしカマスコこれなり”〔浜で網を曳く人とそれを見守る2艘の船が一組となって地曳網漁を行っている図がある〕

地曳網『播州名所巡覧図会』大倉谷(部分)

・明石鎮城(じょうか) 郡中の産物として “鯛、鱸、章魚(干章魚)、海藤花(かいとうげ)(章魚の子なり)、飯蛸(あるいは糟漬)、鯔(或は鹽引)、鰯”
・松江 “この濱に鱸を採りて、その味勝りたりとはいへども、尤多きは藤江の浦なり”
・藤江浦 “春は辛螺(さざえ)、夏は鱸(すずき)、秋は王余魚(かれい)を採り”
・江井が島 “春は汀渚に生海髪(いぎす)、神馬藻(ほだわら)を多く採れり”
・二見浦 “此浦に蛸を採る事、盛也。此魚の子は海藤花といひて文字のごとし。是又、此浦の名産とす。他に希也”