・章魚(タコ) “京師に来りしもの、みな播州二見浦にて漁し、摂州兵庫より送る、兵庫にては漁せず、採法は長縄に長瓦壺〔タコツボトヨブ〕中に紅帛(もみのきれ)片紅熟番椒(とうがらし)等少許いれたるもの数箇を連綴し海底にしづめ置は必章魚壺中に入て出ず、陸に引揚ても敢ていでず、指爪をもって壺底を掻ときは便(すぐに)みな走りいづ、その壺久くもちゆる者は外に蠣殻及小介粘著して異形をなす、好事者用て花尊(はないけ)とす…(略)…子を藤のはなと云播州二見名産なり、二三寸の長さの絲の如き者に粟粒に似たる者多く簇(むらが)り連りて櫧(かし)の花穂に似たり、黄白色なり、鹽蔵(えんぞう)して遠に送る、湯(すいもの)となして珍とす、此を海藤花と云”