3)村の生活に関する記載

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・飯章魚は頭(胴)に飯(卵胞)が詰るまでは一切捕獲しない申し合わせがあったが、維新後は守られなくなった。(江井島村・魚住村)
・村方と浦方の区別は明確であり、村方は海浜に出て漁業することできない。浦方は自由に漁業をできるが、朝鮮人来朝の時や藩主が江戸参勤の時の船の漕ぎ手など、船に関する役目を勤める。
・暴風等で漁船が遭難しているのを見つけた時は、直ちに危険を冒してでも救助する。
・大漁の時は雇夫などに揃えの手拭(紅染)を与え、船には赤幟を建てて祝う。
・漁夫の信仰する神は、天照大神 出雲大社 蛭子神 住吉神などがあるが、蛭子神への信仰が最も強い。
・毎年1月10日、十日戎の日に集会し酒宴を開き、漁業に関する一切の相談・取り決めを行う。
・漁夫の家に産婦がいる時は、11日間他の漁夫と一切行き来してはいけない。
・雇夫の食事は朝昼夕の三回だが、大漁のために夜遅くなった時は臨時に握り飯を与える。飯の添えは香の物と捕った魚を醤油或いは塩で調理したもの(林村)や菜漬け・大根漬けで、茶はなく湯又は水(東二見村・西二見村)であった。
・毎月14日日没より翌15日日没まで休業する。
・休業日に出漁すれば捕獲物を浦方が没収し、村費に充てる(林村)、仲間協議のうえ二日乃至三日間漁業を停止する。(谷八木村)
・夏には海亀が浜に来て卵を産むので、見つけたら周囲に注連縄(しめなわ)を張り、卵を守る。もし、卵を取る者が居れば暴風が起こる。(江井島村)