蛸は明石の名産であるが、その子(卵)もまた名産として名高い。蛸は数多くの卵粒を糸状にして岩や蛸壺内に産み付ける。その糸状になった卵が何条も垂れ下がり、あたかも海の中に藤の花が咲いているように見える。塩漬けにして保存し、「海藤花」と呼ばれる。名付け親は享保4年(1719)に明石藩に招かれ、以後藩に仕えた儒学者の梁田蛻巌(1672年~1757年)であると伝えられている。水洗いして食されるが『日本水産製品誌』(農商務省水産局 1913)に蛸の製品「塩蛸子」として紹介されており、その製造所の販売広告が引用されている。