目次
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各論
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Ⅰ 鹿ノ瀬を巡る争いの歴史
3.鹿ノ瀬の実態
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水深は約20mから2.2m。この浅瀬は林崎漁港の沖合を“根付け”に西南西へ約20kmも続いている。石や砂や貝殻からなっている砂礫層の浅瀬が各所にあり、“カンタマ”“横瀬”など、海中の字名がついている。
この砂の山と谷が波打つように広がり、そこに生えた藻などに稚魚が棲み、プランクトンが発生し多くの魚の棲みかとなっている。絶好の産卵場であるとともに“エサ場”でも“イケス”でもある。古来より多くの人々がここに生き、恵を受けてきた所で、“魚の棚”、明石を支えてきた場所である。ある生態学者が「人知では到底つくれない天然記念物」と表現したのは、その通りだといえる。
鹿ノ瀬他海中の瀬の図
(『砂と松と汐の流れ』より)