旧砂嘴地域内の遺跡発掘調査
その結果、鎌倉時代から室町時代、さらに平安時代と古墳時代の生活跡が検出された。兵庫県の発掘調査で検出された遺構と同類の鎌倉時代の遺構は幅が約1m、深さ15cmの人工溝が西北から東南に傾斜し、その溝内には須恵器の片口鉢などを包含していた。さらに溝跡に平行して鋤溝も検出された。これらの溝などから鎌倉時代には、当地一帯が水田地帯であったことが伺える。なお、第1面の水田面は江戸時代にあたり、第2面では平安時代の幅30cm、深さ10cmの溝が北西から東南方向に延び、溝内から土師器の甕・須恵器杯片などが検出された。さらに第3面では古墳時代(5世紀中頃)の遺構として、北から南へ流入する幅1.5m、深さ40cmの1条の溝を検出した。なお、当溝の東肩に直径3.5mの範囲にわたって土器群が検出された。その土中から土師器壺16個体、高杯15個体、臼玉450点の他、長さ5cmの板状の鉄と滑石の勾玉・剣形品・有孔円板が4枚と鉄器10数点が出土した。しかし、これらの遺構は残念ながら調査後に埋め戻され、民間の共同住宅建設事業が開始された。
北王子遺跡の土器と石製品
北王子遺跡の祭祀品