(1)林村の区割り

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 林村は現在の住居表示では、東から明石市林1丁目・2丁目・3丁目であり、漁業者のほとんどがこの地域に居住している。村落は図で示す18の町内会により組織されており、「町(ちょう)」区分は、『林崎村郷土誌』(大正8年1919)に記述されている「丁(ちょう)」区分にほぼ対応している(表6)。但し、一番西に位置し、古くから集落の人々が「高西」と呼ぶ区域が「東丁」と表記されている点に疑問が残る。
 明治19年(1886)の地図と現状を見比べると、明治時代に田畑であったところが、時代の変化により工場や住宅に変わり、海岸部は港湾や道路が近代的に整備されてきているが、漁業者の居住地の短冊形の区割りはほとんど変わっていない。集落の中を、浜に向かって細い路地が平行状に何本も通っており、地曳網の時代に人々がこの路地を走り出ていった姿を彷彿させる。路地を挟んで向かい合う家々で町内が構成され、町内の中に7~10軒ずつの近隣組としての隣保(りんぽ)がある。
 高浜川を境に、東の「林」地区には昔から漁業専業者が多く、短冊形区割りの景観はより顕著に見られる。一方、西の「高浜」地区には昔は田畑も多く漁業者は半農半漁の生活で「百姓漁師」といわれていた。

明治19年測量2万分の1仮製地形図「林村」(参謀本部陸軍部)


現在の町内会

丁区分1919年 町内会2015年
東部・林 林一丁目 大東住宅*
大東丁 大東町(東之町)
大丁 大丁
獅子投丁 獅子投町
宮丁 林二丁目 若宮町(宮之町)
八軒丁 八軒町
中丁 中之町
西丁 五蔵町・地蔵町・戎井町・戎之町
川端丁 川端町
自由川・自由橋 高浜川・林崎橋
西部・高濱 川端丁 林三丁目 高東町
中丁 高中町
戎丁 高戎町
八九郎丁 八黒町
東丁 高西町
西浜町*
戸数 523戸 世帯数 846世帯
表6 区割り対照表 *印は第二次大戦後の住宅地