1)多彩な漁業

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 明治30年(1897)刊行の『兵庫県漁具図解』(関西学院大学図書館蔵)に、林村の漁具では次のものが紹介されている。( )内は捕獲魚類。
・手繰網(アブラメ・ベラ・小エビ・メイタガレイ・メバル・アナゴ類)
・ゴチ網(タイ・エイ・スズキ・ハマチ)
・介漕網(カキ・ニシ類)     ・鰆網(サワラ・タイ)
・鰮揚繰網(イワシ)       ・玉筋魚(いかなご)四艘張網(イカナゴ)
・鰮八田網(イワシ)       ・鰮持網(イワシ)
・章魚壺(タコ)

林村の鰮持網構造図
『兵庫県漁具図解』より


玉筋魚四艘張網使用図
『兵庫県漁具図解』より

 また、『林崎村郷土誌』(1919年)、「林崎漁業組合一覧」(1935年)、「林崎漁業組合五十年の回顧」(1951年)、森田岩次「林崎漁業組合と漁村の移り変り」(1959年頃)などに、以上の漁法のほか、蛸一本釣漁業、マテ貝突き、藻手繰網、コックリ網、はなつぎ網、ベラ曳網、エビ漕網等が見られる。1960年代には、80種にものぼる魚種を15余の多彩な漁法で漁獲し、県下では北部の香住漁港と1、2を競う水揚げの一大漁業基地であった。

林崎浜(昭和30年頃)『ふるさと明石・写真帳』より

表7 1959年度 漁獲高
込まし網 イカナゴ 19,085,347円
イカ 1,630,444円
巾着網 イワシ 22,869,255円
サワラ 19,216円
スズキ 16,627円
タコ 27,634,553円
イイダコ 480,731円
一本釣 タコ 29,560,144円
小型底曳網 イカナゴ 530,575円
タコ 5,444,761円
カレイ 1,707,548円
エビ 579,029円
ベラ 184,740円
五智網 タイ 9,074,830円
ハマチ 4,167,666円
雑魚 243,431円
小型揚繰網 サワラ 1,528,488円
貝類 2,727,627円
森田岩次「林崎漁業組合と漁村の移り変り」より