漁具図「東二見のタコ釣り具」
『播州東二見浦漁業の歴史』より
釣り具「タコデ」は自分で作る。舟型の板に錘石と鈎針二本をつけ、エサに見立てた彼岸花の球根を付ける。林村では、彼岸花のことをテクサリという。テクサリを普通3つ付けるが、水深100m余の深い漁場では、大型のタコデにテクサリを5、6個付けた。テクサリの代わりに、綿をタコの好む赤い布でくるんだり、やがて布の代わりに着色したビニールを使うようになった。この釣り具に糸をつなぐ。大型のタコデの長さは、20尋(30m)、中型は10~15尋(15~23m)ぐらいである。手漕ぎの船のころには三人で出漁し、一人が艫(とも)(船の後部)で櫓を操り、船をタコがついてくる速さで流す。一人が表(おもて)の間(ま)(船の前部)で、風による船の揺れを櫂で加減する。釣り師は胴(どう)の間(船の真ん中)に立って片手に5~6丁、両手で10~12丁のタコデを投じて海底を曳く。タコがエサに抱き付くと、糸の張り具合でわかるので引き揚げて捕獲する。漁場は地先の海や垂水~須磨あたりであった。
タコ釣り具「タコデ」