おわりに

92 ~ 92 / 95ページ
 現在、震災・空襲・近代化遺産はじめあらゆる分野において、「記憶」を「記録」し「継承」していこうという動きがある。地域に残る文化や知恵を継承し次世代に伝えていこうとする作業である。どの市町にも、地域の歴史を物語る遺産があり、それらをどのように共有していくが課題の一つでもある。
 明石市において、ここ数年かけて取り組んできた『あかし文化遺産マップ』や『あかし文化遺産-明石市内に点在する文化財を調査・解説-』、昨年度の『明石の農村』そして、今年度の『明石の漁村』は、これらの一連の流れに位置するものと考えている。
 
 古代より脈々と営まれてきた明石の漁業を、まず総論として、「明石の漁業の現状」、縄文時代から明治時代までの文献を「文献にみる明石の魚と漁」として整理してみた。各論においては、魚の宝庫「鹿ノ瀬」を巡る歴史的変遷を巡り、漁村景観が色濃く残る林地区と二見地区を選定し、以前に調査した記録や文献や今回改めて聞き取り調査などを行い、それぞれの地区の漁村の実態に迫ってみた。現在その整理の段階ではあるが、一応のまとめをここに記しておきたい。これを機に、「明石の漁村」の実態の解明がさらに進めば幸いである。
 今回の調査にあたり、市内の各漁業組合の皆様はじめ、関係機関の方々に深くお礼申し上げます。

「山立て」の展示(明石市立文化博物館)