4.明石城絵図/【参考】『主図合結記』

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 基本的には3図「播州明石城図」と似ている。外堀内の図であるが、西外に「馬場」を記載。街区のみ記入、屋敷割はない。城内への出入口は「樽屋町口」「大手」「細工町口」のみ名前を記載。本丸には「人丸廟所」とのみある。「人丸社」の西に「清水寺」がある。本丸の北の「鴻池」まで描かれているが、この池は現在の桜掘であり、北曲輪の記載はない。南東下部に「町屋ハ城ノ南ニアリ海辺迄悉町屋」とある。定形化した図であり、『主図合結記』に代表される簡略版の全国城絵図集に使われた図と考えられる。

明石城絵図●明石市立文化博物館蔵(27.6×37.2cm)

『主図合結図』とは
 全国に所在する城ごとの城主沿革と城下図を合わせたもので、江戸時代の儒学者山県大弐(1725~1767)が著したとされている。多くの写本が伝わっていて、武家社会の中で広く流布していたようである。写本であっても城主沿革と城下図の基本要素はほぼ同様であるが、巻子本であったり判型や大きさ、図と沿革文の配置構成などは異なっている。本図は昭和62年(1987)に犬山市から刊行された柴田家蔵本の複製本(全5巻)である。城下では街路区画(道)のみを記し、城郭内部は形式化された図で、その一枚の図中に沿革文が書き込まれた基本的な図である。

『主図合結記』●複製 個人蔵(27×35.5cm)


巻一の巻首と他巻の題簽


巻四の目次(明石部分)