1.2石油発動機(電気点火式)

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 発明時期は1885年(明治18年)、発明者はイギリス人プリーストマン、燃料は灯油、軽油。点火方式は電気着火で構造的にはガソリン機関とほぼ共通で気化器、点火用マグネトー(磁石発電機)を持つ。灯油や軽油は気化しにくいので始動時に補助的にガソリンを用いる場合がある。全般に構造が簡単で全国の小規模企業で多数生産され横型は農作業用として普及した。また、吸気弁がカム駆動でない自然吸気のプッシュロッドが排気1本の「1本棒」型と呼ばれる物と吸排気ともカム駆動で「2本棒」型と呼ばれる物とがあった。冷却は冷却ジャケット上のホッパーを持つのみで、沸騰蒸発により冷却するホッパー冷却式であった。
 

 
 船舶用は縦型で海水冷却し、前後進切換のクラッチを装備していた。戦時中、この機関を搭載した小型舟艇を「チャッカ」と呼んだことから小型の発動機付漁船も「チャッカ」と呼ばれていた。