2.1注水式(ミーツ式・ボリンダー式初期型有水式とも言う。)

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1)概要(図5 注水式の構造参照)
 焼玉と呼ばれる鋳鉄製の球状の気化器を兼ねた燃焼室をシリンダヘッドに持ち、圧縮時の熱と焼玉の熱によって混合気の熱面着火を起こし燃焼させるレシプロ機関。
 

 
2)各部名称と作動原理
 バーナーで外部から加熱された焼玉①内に燃料弁⑦から燃料が噴射されると瞬間に気化し着火膨張する。つまりピストン③が下方へ押される。この時、クランク室④内の空気は掃気通路⑧を通じてピストンが下死点付近まで下がると掃気ポートが開きガス交換が行われ燃焼ガスは排気管⑥から排出される。
 注水式はここで冷却のため燃焼室②内に水を噴射する。ピストンが上昇する行程でクランク室内は負圧となり空気弁⑤から吸気する。負荷が上昇して焼玉の温度が上昇するとバーナーでの外部加熱はしない。
3)短所
 冷却用の水を必要としていたので遠洋航海が出来なかった。また、負荷や回転数の変化に応じて注水の時期と加減が必要で、熟練した機関士が張付いていなければならなかった。さらに水を直接燃焼室に入れるので燃料油の硫黄分と反応して燃焼室部材に硫酸腐食が発生する欠点があった。