付論 日野逸夫氏が書き残した「活魚船史」

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 この資料については、日野逸夫氏の妻である日野宮子さんが保管していたものを、今回の「明石型生船調査資料集・生船写真帖」作成にあたり、日野賀生氏が借用し提供を受けたものである。この活魚船史の存在については、何人かの研究者には知られていたが、全文が公開されるのは初めてのものである。その一部は社団法人大阪市中央卸売市場本場市場協会資料室の酒井亮介氏が「桜鯛と魚島季節活魚船輸送から活魚トラックへ」と題して水産振興第536号(一般財団法人東京水産振興会平成24年8月発行)で報告されている。
 この日野逸夫氏が書き残したノートは、活魚船の活躍・歴史を研究する上で極めて貴重な資料で、日野逸夫氏の「活魚船の活動を後世に残さないといけない」という強い思いが感じられる内容となっている。なお、日野逸夫氏は活魚船の元機関長で青年期から晩年まで韓国や瀬戸内海の漁場から大阪本場まで活魚運搬業をしておられたが、平成20年(2008)に77歳で死去された。
 資料はB5ノート3冊から構成されている。「活魚船史①資料」が70+α/70頁、「活魚船史②」が64/70頁、「活魚船史③」が21/70頁が書き込まれている。今回は可能な限り原文に従って文章化した。言葉が抜けている場所は□□□で表した。また、個人情報にあたる場所はデータとしては書き起こしたが、原稿には表現しなかった。なお、活魚船史①の前半資料42頁は活魚船史を書くための調査メモであり、その内容には重要な書き込みがされているが今回は掲載していない。