蛸漁は、4月~9月迄が夏蛸として漁獲される。淡路島、岡山県下津井地方では、秋蛸が10月~12月中旬迄、夏蛸の半量位獲れる。蛸壺漁は、原則的に大汐時の満ちてくる時に壺を繰り上げないと量が獲れない。小汐時は、極端にとれない。(満ち汐でも)。干汐時は全く壺の中に入っていない。
逆に、蛸の1本釣りは、小汐時が好漁であるが、総じて小蛸が多い。又、蛸の内臓に針が刺される事もあって、上がり(死ぬ)も少し増える。蛸壺漁船より、蛸を秤量□□□手網(タモ)。衡だまとも云う。秤量し、蛸団平に移す時が、細心の注意が必要である。即ち、蛸団平の上に一名が乗り、活簀ぶたの上に一度蛸を広げ、からまった蛸を一匹ずつさばいて活簀内に入れる必要がある。掛けだまごと一度、活簀内に投入すると、直径約50cm位の蛸ボール状になって、からみあったまま塊が解放されないので、その蛸ボールは呼吸できずに、全部窒息死する。蛸積み込み時も一生間に、約1,000kgの蛸を積み込みする。蛸団平一隻に活蛸約150kg収容してある。一生間分、蛸団平6隻~7隻分クレーンウィンチで水深30cmまでまきあげ、蛸団平内に2名が入って、大丸カゴに拾い入れて、団平上に上げる。それを生間内に、一匹ずつさばいて入れる。時間(荷役作業)は長くかかるので、生間内は、蛸がはき出したスミで真黒になる。又、酸欠も危険なので、生簀場をはなれ港外に出て、全速力で、その生間にポンプホースを入れて排水しながら舵輪を面舵一杯とる、船体は左舷に傾く、次に取り舵一杯とる、船は右舷に傾く、船体をローリングさせることによって、生間内の換水を急ぐ、海水が澄んで来たら、再度、蛸団平に接舷し、次の蛸団平荷役をくり返す。その浜を出港したら、その生の間の海水が澄み切るまでポンプ排水と転舵をくり返し、箱眼鏡でのぞいて、蛸ボールができていないかと検査し、蛸ボールが存在したら竹棒で水面まで引きあげ、すばやく、さばいてやらねばならぬ。蛸は、自己専有場所確保意識が強いのである。蛸用生間には、蛸専用の蛸簀が必要である。蛸積み込み時は、大中ダコと小ダコとをわけて別々の生間に入れる必要がある。蛸同士の争いがおこると、必ず小ダコが死ぬ。