(ア)鉄道

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 ①山陽鉄道 明治21年1月に、神戸から山口県の馬関(現在の下関)までの路線免許を得て設立された鉄道会社。明治21年11月1日に兵庫-明石間が開通し、次いで12月23日には明石-姫路間が開通した。外堀に位置する東の大蔵門と西の王子門を結ぶ路線で、武家屋敷地内はその家々の境界地(裏庭)を通過しており、路線敷となる住宅の立退きを最小限に抑えた計画である。城下町を東西に貫通する路線で、武家屋敷地の中心部に駅が出来たことにより、以後、外堀内(武家屋敷地)の市街地化が進む。明治39年12月に国有化され、現在のJR西日本の前身となる。
 ②兵庫電気軌道 明治40年に設立され、43年には兵庫-須磨間が開通していたが大正6年4月12日に須磨-明石(西本町)間が開通し、兵庫-明石間の運転を開始した。

兵庫電気軌道「人丸停留所」

 ③神戸姫路電気鉄道 大正8年に設立された明姫電気鉄道を大正10年に社名変更し、大正12年3月に明石-姫路間の運転を開始した。これにより、明石西部の海岸部に発達した産業(酒造、窯業、マッチ産業、海産物)への交通が確保される。

「明石市全図」(大正14年 部分)

 その後、兵庫電気軌道が昭和2年1月1日に、京都・大阪地域へ電力を供給していた宇治川電気と合併。昭和2年4月1日には、神戸姫路電気鉄道が宇治川電気と合併し、2社を合わせて宇治川電気電鉄部となる。この合併により、山陽鉄道明石駅の南で離れていた2社の駅は、下記の経過を経て結ばれ、やがて路線も一本化される。
○昭和2年12月旧神戸姫路鉄道の軌道を追手筋から東南へ延伸(仮線)し、旧兵庫電気軌道の明石駅前駅で接続する。明石駅前駅-明石駅(西本町)間は臨港線として営業する。

「明石市全図」(昭和2年 部分)

○昭和3年8月26日姫路-兵庫間直通運転開始。
○昭和6年12月旧兵庫電気軌道の軌道を北へ移設し、ほぼ直線で、旧神戸姫路鉄道の明石駅へ接続する。
 旧兵庫電気軌道明石駅(西本町)を廃止し、臨港線(西本町線)は廃線とする。軌道敷は県に無償提供。※これにより、旧街道沿いの商店は大きな打撃を受ける。
○昭和8年6月5日宇治川電気電鉄部が独立し「山陽電気鉄道」が創立される。

「明石駅連絡図」(『山陽電気鉄道65年史』より)


「明石市全図」(昭和11年 部分)