戎町・新浜

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(p40 明治期の商工名鑑資料①~⑤による)
 戎町には燐寸(まっち)、特に燐寸箱の製造所が明治中頃の早い段階からある。明石貯蓄銀行は、明治28年11月に船町の米穀商平野林蔵により設立された小口預金を引き受ける庶民向け銀行である。新浜には、米・魚・荒物という生活密着品が並ぶ。ここ戎町と新浜には、共に明石玉(珠)の製造所があり注目される。他では樽屋町と西新町に製造所があった。
名前 所在地 業種・商品 屋号ほか 資料① 資料② 資料③ 資料④ 資料⑤
福田勝之助 戎町 燐寸小箱、燐寸製造 明石珠製造 英凾舎
福田勝之助 戎町 燐寸及小函 燐寸小函軸木製造
吉野治兵衛 戎町 燐寸小函製造並米穀商
明石貯蓄銀行 戎町 銀行
 
金井常六 新演 米穀肥料 米穀商    
松本吉兵衛 新演 米穀商 屋根屋
須藤喜兵衛 新演 荒物商 上酒屋
筏市左衛門 新演 国産明石玉製造
水産市場 新演


明石玉製造所(資料①より)


明石玉

 明治13年5月刊『兵庫県統計概表』に戎町の明石珠製造所の記載があり明治初期の工場規模がわかる。それによると、敷地 : 23坪、建屋 : 21坪、製造高 :68,000個、資本金 : 1,000円。小規模な工場で、安価に作られていたようである。
 また、明石珠は「擬珊瑚珠」の名前でも統計に表れている。『兵庫県勧業年報第1回』(明治17年)の「明石港輸出表」によると明治15年3,205円、16年は1,923円の輸出額であった。