1.はじめに戸石について

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臼井晃

 長崎県長崎市戸石(図1)。西彼杵半島・長崎半島の基部に位置し(図2参照)、南は橘湾(千々石湾)に面する。橘湾の牧島を含む。対岸の牧島とは昭和44年(1969年)完成の牧戸橋で結ばれた。戸石港周辺は高台(山)に囲まれ、対面の牧島も東西に長い形であるため、戸石港からのながめは山に囲まれているような印象を受ける。天気のいい日には南東の方に南島原の山影をみることもできる。

図1 牧島より望む戸石


図2 戸石港と長崎県の関係港

 戸石港では牧島と挟まれた水道で養殖を行ない、沿岸部地域では水産加工の工場が立ち並ぶ。また底引き網漁が盛んで、昭和期には5トン程の小型木造漁船が多数存在した。戸石港周辺は山が深く平地が少なく、牧島に囲まれて居る地形上、戸石港西部を60年程前に埋め立て造成した。橋が架かった牧島も埋め立ての造成工事が行われ、養殖した魚を直ぐ近くで水揚げし水産加工を行い各地へ発送している。港は、畜養に適した立地条件の為、早い時期から鯛の養殖が盛んで、近年ではトラフグの養殖も多く見られる。公共事業によって、鯛の人口孵化による稚魚の栽培漁業も盛んである。