はじめに

159 ~ 159 / 370ページ
小泉貴子

 北淡町は、淡路島の最北端に位置し、東西20kmにわたる帯状の町で、明石海峡、播磨灘を隔てて本州と相対している1)
 本論文でとりあげる北淡町の活魚運搬は、全国的に見ても過去においてここほど盛んに行われていた地域はなく、町の歴史において特筆すべき産業と言える。
 活魚運搬をテーマにした論文は、過去においてほとんど書かれておらず、本論文は、そういう中で貴重な論文である河野通博氏の『漁場用益形態の研究』、補論「瀬戸内海の活魚運搬業」を第一の主たる参考文献としてとりあげ、活魚の出買地、漁民生活に関することなどを加えることにより、北淡町の活魚運搬を地理学的に考察しようとしたものである。
 活魚運搬に関する文献に乏しい為、本論文は活魚運搬関係者、出買地住民からの聴き取りによるところが多いことを初めに断っておきたい。