『焼玉機関出荷台帳』の見方・・・・・193ページ8行目を見ると
・契約月日(大正14.12.29)⇒受注生産であるため先ず初めに契約が締結される。
・納期(大正15.4.15)⇒注文主の希望納期
・製作番号(2091)⇒社内で使用する管理上の追番2091番と言う意味
この番号は3334まで続き、4000番から新たに始まり4579まで続く。その後15001番から再び始まり昭和17年8月の17135番で民間向けは終わる。その後は海軍の管理下に置かれ軍需用の計画造船に合わせた生産を余儀なくされた。
・型式(2GB-135)⇒製品の型式‘2’は気筒数を表す
・馬力(70)⇒生産出力の大きさを表す70馬力のエンジン
・船名(好芳丸)⇒船に名付けられた名前縁起のいい字が使われる事が多い。
船名は進水式までに決めればいいので、エンジン出荷時には船名が決まっていないケースもある。
・氏名(野田久太郎)⇒注文主(船主)の名前明石東魚町の生魚問屋の菊地徳次郎の名前や明石東戎町の鮮魚運搬業の合名会社亀磯商店も出てくる。
・発送日(大正15.8.8)⇒エンジンを発送した日
・売価(8,750.00)⇒エンジン売渡値8,750円
・条件( )⇒エンジンの付属品や出荷条件等の特記事項
・住所(三重県度会郡島津村字古和)⇒注文主(船主)の所在地、北海道から沖縄まで全国津々浦々に出荷されている。また、海外向けも多数あり、一番多いのは朝鮮半島、次いで台湾、中国、比律賓と続いている。さらに樺太、新嘉坡、トラック島にも出荷実績がある。
・造船所(三重県長島町中野造船所)⇒船を建造する造船所名所在地は多方面にわたっており、日本全国に漁船を建造する小さな造船所があったことが伺われる。この中には生船研究会とも関係のある兵庫県津名郡富島町の大崎造船所、富島造船所や岡山の加瀬野造船所の名前も見える。地方造船所の歴史研究の一助となる可能性もあると思われる。