瀬戸内コレクションの収集について

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あかし市民図書館ふるさと資料室生船チーム

 あかし市民図書館は平成29年に、明石城内から現在のJR明石駅前の再開発ビルに移転してきた。図書館から国道2号線を隔てて南側には明石近郊の台所として栄える「魚の棚」があり、瀬戸内海等で捕れた魚介類が販売されている。更に10分程南に歩けば明石港に至る。明石港の「旧波門崎燈籠堂(現在)」からは目前に明石海峡(柿本人麻呂が万葉集に明石大門と読んだ)、淡路島、明石海峡大橋の景観が一望できる。今は明石港から淡路岩屋港まで高速船で約15分で結ばれている。
 明治38年(1905年)、明石出身の中部幾次郎(大洋漁業創業)が、この明石港の西側、東戎町にあった小杉造船所で最初の木造動力付き鮮魚運搬船「新生丸」を造った。更に現在、図書館のある場所付近には活魚船に焼玉エンジン等を供給していた木下鐵工所の錦江町工場や追手町工場が所在していた。
 この様な関係性のある場所に所在することから図書館ふるさと資料室では、瀬戸内コレクションの一つとして活魚運搬船の目録の作成を行った。目録作成にあたっては閉架書架及び開架書架にある関連図書の検索と、新たに瀬戸内コレクションとして古本店より購入した漁業に関する書籍の文章や写真・図面を確認して、活魚船に関する部分を記載した。中には偶然に撮影された漁港写真に生船(鮮魚運搬船)が写っているものがあり、瀬戸内海沿岸を広く活動していた様子が書籍から確認された。なお購入にあたり選書には、「瀬戸内海の島離島に関する文献情報」「広島県立図書館瀬戸内海資料」「瀬戸内海関係資料総合目録」等を参考にした。
 目録に掲載できたのは図書館で所蔵している書籍の範囲であり、もっと多数の文献があるものと思われる。どの書籍のどこに関係、関連する内容が書かれているかを知るために、一部を原文のまま、あるいは要約して引用している。この目録を通読して頂くと、ある程度の生船(活魚運搬船)の概要が解るのではないかと考えている。また重要な書籍については*印をつけている。
 目録で活用した図書資料は一部が襟帯(図書館内で読める資料)であるが、ほとんどは貸出可能な資料としている。また、ふるさと明石を「瀬戸内海から学ぶ」学習の支援資料として、市民の皆様に瀬戸内コレクションを幅広く活用して頂きたい。
 さらに平成29年(2017)年放送の新日本風土記「淡路島」では、兵庫県南あわじ市沼島の明石型生船「第三芳丸」や鮮魚運搬船「濱丸」が紹介されている。なお、『生船研究会・あかし市民図書館ふるさと資料室共同研究 明石型生船調査資料集・生船写真帖』2019については、明石市立図書館ホームページ「明石 郷土の記憶」としてデジタルアーカイブシステムADEAC(アデアック)で公開し利用できるようになっている。