一 旧石器(きゅうせっき)時代

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 人類の歴史は、およそ四百万年ほど前からと考えられています。
 日本列島は大陸とつながっている時期もありましたが、形は今に近いものでした。
 地質学では、第四紀を、更新世と完新世に分けています。完新世は、縄文時代からの地層で、現代も含まれます。
 更新世は、氷期と間氷期が繰(く)り返されました。関東の地層は大きく、上総層群と、関東ローム層に分けられます。
 関東ローム層は普通、古い方から、多摩ローム、下末吉ローム、武蔵野ローム、立川ロームの四層に分けます。武蔵野ロームと立川ロームの下には、それぞれ、砂層があります。
 関東口ーム層では、多摩ローム層が、およそ三〇万年前からできました。一番新しい立川ローム層も、三万年以上前からできたと考えられます。
 旧石器が出土するのは、今のところ、三万年以降に堆積した立川ローム層です。それ以前の旧石器については、今後の研究が待たれています。
 武蔵野台地の遺跡は、多く野川流域から発見されています。
 これらの遺跡には、石器や石くずの集まりや、焼けた小石礫がまとまっている所はあります。しかし今のところ、竪穴は発見されていません。
 このことから、当時は少ない人数の集団で、移動する生活をしていたのだろうと考えられます。
 出土する石器には、下の方の地層からナイフ形石器、その上の地層から石槍を主体とした石器や細石刃が出るという、一つの特徴があります。
 
◇旧石器と日本
 人の手が加えられた打製石器で、更新世の層から出土したものを、旧石器という。旧石器時代の遺跡からは、骨角器や人骨が出土することはある。しかし、土器は発見されていない。旧石器遺跡は、旧大陸では、古くから各地で発見されていた。しかし日本では永く発見されなかった。
 昭和二十一(一九四六)年、群馬県笠懸村岩宿で、群馬県の相沢忠洋さんの手により、関東ローム層から石器が発見され、この時代を先土器時代とも呼ばれた。
 旧石器の初発見であった。しかし発見者が学者ではなかったために、一時、疑問視されたこともある。後、明治大学の協力で、初の旧石器の遺跡と認定された。