板碑(巻末資料参照)は、鎌倉時代に現れ、室町時代の終りに、ほとんど消滅していく石造遺物です。
多くは、緑泥片岩という、比較的剥がしやすい石を加工して造られています。
頭部は三角形で、二条線を持っています。全体に、細長の、将棋の駒のような形をしています。
身部の上には、仏や菩薩をあらわす、梵字(種字)や尊像、または、念仏や題目が刻まれています。下の方には、建てた理由や年が刻まれています。
鎌倉時代のものは大型ですが、時代がさがるにしたがって、小型になっていきます。
これを造った人の多くは、歴史上有名な人ではありません。その地域で活躍し、それなりの経済力を持っていた、豪族や名主、僧侶たちであったと、考えられています。
市内で発見された板碑は(平成十三年現在)破片を含めて五十二基です。そのうち年号のあるものは三十基です。(巻末資料参照)
市内の板碑の種字は、明らかに釈迦如来である一つを除いて、阿弥陀如来です。また、はっきりしない一つを除いて、北朝の年号が刻まれています。