中下層の農民たち

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 上層の農民たちが、江戸の文化を取り入れ、その生活の中に文学を根づかせていく一方で、中下層の農民たちは、文学に親しむ生活のゆとりはなかったものの、農業の技術を積極的に取り入れるということで新しい文化を取り入れていました。
 養蚕業では、福島県や長野県など蚕種の名産地の業者が、蚕種の行商を通して、先進地の養蚕技術や農機具を中下層の農民に伝えました。
 農民は、彼らが蚕卵紙の裏などに書き残してくれたものから養蚕技術を学び、新しい道具を買い求め、良質の繭や生糸の生産に努め、業者に買いたたかれないようにしました。
 また、養蚕技術書が出版され、それが流布するようになり、それらを読み、技術の改善にも努めた様子から、中下層の農民にも文字が浸透していたことが想像されます。

養蚕に使った道具(拝島第四小学校展示室)