請願書

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五日市方面より川崎に至る唯一の交通機関である南武鉄道は開業以来約二十数年間地方交通路線開拓の使命に徹して沿線の産業文化発展の為に鋭意努力して参りましたが昭和十九年四月政府に強制買収され以後省線として経営されて居りますが両線の復興、沿線の開発は遅々として進まず利用者に不便を与えてゐる現状に鑑み今般民意を反映する会社経営として地方交通の急速なる復興を実現せん為当社に於て之が還元を政府に出願して居ります。
当線は貴町の中央を貫通する唯一の交通機関であつて経済九原則の協力実施に伴う客観状勢の著しく変化しつゝある際其の運営如何は産業の発展、沿線住民者の福し、市町村財政等に多大の影響を及ぼす事は多言を要しませんが還元後は
 一、五日市線運行回数の増加、立川―拝島間の営業再開
 二、住宅地の開発、観光地の開拓
 三、株式の公開と沿線代表者の経営参加
 四、租税を納入しない国有鉄道公社に代つて納税義務を負担する等
地方事業に即応する経営とし貴町の事業に寄与せんとするものでありますから実状篤と御審議下され貴町に於ても右還元に御賛同下さるよう関係書類を添付し御願い申上げます。
   昭和二十四年八月丗壱日
         東京都千代田区丸ノ内一ノ二
            大川田中ビル四階
           南武鉄道株式会社
            代表取締役 津田 庄吉
 
昭和町長
  伊藤 栄彦 殿