2 専用鉄道免許(大正七年五月。東京都公文書)302・B8・21)

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監第九二〇号
           紅 林 七 五 郎
               外 四 名
明治四十二年九月二日付申請東京府北多摩郡福島村ヨリ同府同郡拝島村ニ至ル専用鉄道敷設ノ件免許ス仍テ左記条件ヲ遵守スヘシ
    大正七年五月三十一日
       内閣総理大臣伯爵 寺内正毅
第一 鉄道設置ノ年限ハ砂利採取及材木伐採ノ年限ニ準スルモノトス
第二 此ノ免許ヲ受ケタル日ヨリ三箇月内ニ敷設工事ニ着手スヘシ
第三 此ノ免許ヲ受ケタル日ヨリ壱年三箇月内ニ本工事ヲ竣功スヘシ
第四 工事ニ着手シ及工事ヲ竣功シタルトキハ速ニ之ヲ届ツヘシ
第五 指定ノ期間内ニ工事ニ着手セス又ハ工事ニ着手セズ又ハ工事ヲ竣功セサルトキハ免許ノ効ヲ失フモノトス但シ正当ノ事由ニ因リ期間内ニ着手シ又ハ竣功シ難キトキハ期限ノ延長ヲ申渡スルコトヲ得
第六 此ノ鉄道ハ願人ノ砂利及木材ヲ運搬スルニ止マルモノトス
第七 内閣総理大臣ニ於テ必要ト認ムルトキハ工事方法又ハ運転方法ニ付変更ヲ命スルコトアルヘシ
第八 人家及諸建物接近ノ場所ヲ進行スヘキ場合ニ於テハ火粉噴出防止ノ装置ヲ為シ其ノ他失火予防ニ厳戒ヲ為スヘシ
第九 内閣総理大臣ハ臨時必要ノ場合ニ於テハ一時車輌ノ運転ヲ停止セシムルコトアルヘシ
第十 毎年少クトモ一回運輸上ノ事項ニ関スル報告書ヲ調製シテ之ヲ差出スヘシ
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工事方法書
一、建築定規ハ明治三十三年八月十日逓信省令第三十三号規定ノ甲号図面ニ拠ルモノトス
二、軌間ハ三呎六吋ニシテ曲線ノ最小半径二十鎖トシ停車場外ニアル反面ノ曲線間ニハ相当ノ長ヲ有スル直線ヲ挿入シ最急勾配ヲ百分ノ一トス
三、施工基面ノ幅ハ軌道中心ヨリ其外縁点七吋トシ築堤及切取ハ一割乃至一割五分ノ法勾配ヲ附ス道床ハ枕木下面ヨリ施工基面迄四吋以上トシ降接軌道間ノ中心距離内ハ拾弐吋以上トス
四、本線路ノ軌道ニ用スル軌条ハ鋼□ニシテ新□ノ時其重量一碼ニ付五十封度以上トシ普通寸法ノ枕木ヲ三十吋軌条ニ対シ十三挺布列シ犬釘ヲ以テ釘着シ曲線ニ於テハ半径ニ応シ相当軌間ヲ拡ケ且ツ外側ノ軌条ヲ内側ニ比シ高カラシメ軌道ノ終端ニハ車留ヲ設ク
五、轍叉ニ付帯スル曲線ノ半径ハ四百吋以上トシ尖端軌条ハ尖端於テ少クトモ三吋半開キ轍叉ニ於テ軌条ト護輪軌条トノ間隔ハ一吋八分七以下トス
六、溝渠ハ別紙図面ノ如ク木造トス
七、弐個以上ノ列車ハ同時ニ運転スル事ナキヲ以テ信号機ヲ設ケス通信設備トシテ電話機ヲ使用ス
八、拝島村ニ貨物積卸場ヲ設ケ積卸場ノ高ハ軌条面三吋以下トシ一哩四十七鎖附近ニ容量弐百立方吋以上ノ貯水器ヲ設ク
九、本線路ニハ哩程標、勾配標、車輌ノ停止区域ヲ示ス警標及踏切道警標ヲ設ケ道路横断ヶ所ハ踏切道ヲ設ケ人又ハ牛馬ノ線路ニ踏入ノ虞アルヶ所ハ堤塘ヲ築キ又ハ柵垣ヲ設ク又往来頻繁ナル踏切道ニハ門扉其他相当ノ保安設備ヲナシ番人ヲ附ス
十、車輌ハ鉄道院所属ノモノヲ使用ス其運転及使用ノ方法ニ付テハ中部鉄道管理局ト協定シテ認可ヲ申請スベシ