謹啓 仕候時下追々春陽の候と相成候 折柄貴社益々御隆盛の段奉慶賀候 扨昨年十二月一日貴社に納入すべき拙者発送砂利運賃予納金五千円也に対する暫定契約公正証書に相定め置き候 金子納入の件に就ては其後極力事業伸展により契約実行の存念に候處 本年一月以降御存知の如く砂利業界の不振と価格下落は誠に大震災以来のレコードを造り昨年末に比し実に市価平均弐円五拾銭以上の開きを生ずるに立ち至り経営上大量製産の割合に甚しき利益見積り額の相違を相生じ候間 目下の處何分右予納金納入出来兼ぬる様の次第に付 当分の間御猶予被下成度 尚左記事情を御斟酌の上特別の御詮議を以て御聞届け被下度此段奉願候也
左 記
一、別表の通り契約書中記載の第三号船(五十馬力)復旧を其の後引き続き手配し水害後修理費総計金五千八百九拾七円拾壱銭也を投じ来る四月三日頃より漸く運転開始の手配を相成る事
二、前述の通り販売上相当困難なる商状に係らず御約束の発送数量増加を専念し来りし点も相当御認め願度き事
昭和四年三月三十日
西 尾 保 ○印
青梅鉄道株式会社
社長 小 澤 太 平 殿
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謹啓 扨今般は運賃予納金猶予の件特に御聞届被誠に有難く御礼申上候 就而今般五鉄線路建設の為め拙者事業地取払移設等の件につき同会社との間に事件相生じ居候分は五鉄の誘惑に惑はさるゝ事なく一意益々貴社御利益の為め奮闘仕る可く候間御安心被下度 就而右交渉中に種々御指導を相受け度 移転其の他工事安定後は是非一層の御補導御助相願度 右申進候也 敬具
昭和四年三月三十一日 西 尾 保 ○印
青梅鉄道株式会社
社 長 小澤太平 殿
支配人 今野三治 殿